お気に入り短歌

この日付の朝日新聞朝刊「歌壇」より

・鹿避(よ)けの警笛鳴らし雪野ゆく車両ひとつの花咲線は(仙台市 沼沢さん)

→馬場あき子、高野公彦、永田和宏各氏と、4人の評者のうち3人が共選。
でも私がええなあと思ったのは、いぜん実際に花咲線に乗ったからだ。

眼前に池?が広がる中、突如「ぴや〜〜〜〜」という耳をつんざくような警笛が鳴った。
同時に、乗客が次々と席を立って窓を覗き込む。わたしも慌てて外をみると、
大きな鶴がばさばさと羽ばたくのが見えたのだった。

でかい、鶴ってでかい!
感動の一瞬だった。

私が乗ったとき、花咲線はいずれ廃線になるというので、
釧路まで足を伸ばしたついでに、という感じだった。

改めてウィキペディアを見てみると、2016年3月には廃線になっているので、
私が乗ったのは2015年夏だ。ということは、沼沢さんのこの短歌も思い出を読んだものなのだろうか。

また、花咲線はとくにエゾジカとの衝突が多いと書いてある。
きっと乗ったことがある人は、みなあの警笛の音が耳に残っていて、
この句をよんだ瞬間、脳裏によみがえるのだろう。



・置き物は真夜中にだけ猫になる猫はしばしば置き物になる(神奈川県 九螺さん)

→この欄の常連さん。ねこ飼ってたのか。

しゅっとしてて、謎めいていて、一人で凜と暮らしている女性(名前や作風から勝手に想像)のかたわらに、ぐうたらでぶねこがぐた〜と寝そべっている風景(これも想像)が浮かぶ。

でも真夜中にどたばたされるとつらいかも。