金銀花涼茶

お盆中は急ピッチでいま翻訳している本にある譜例を作っている。そして昼間、基本的に冷房は使わない。汗だらだらのなか、このお茶に助けられている。



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これは頂き物なのだが、体に良さそうなものがいろいろ入って、さらにほんのり甘さひかえめの中国の氷砂糖が、それぞれの個性の強さをふんわりまとめてくれる。かつてシルクロードの旅の疲れを癒し、砂漠地帯ののどの乾きを潤してくれた「八宝茶」に通じるものがある。違いといえば、ここに体の熱をとるという菊花が加わっているため、より夏仕様になっているのだ。



小さなジッパーつき袋に一回分が入っている。乾いて茶色に縮んだなにやら得体の知れないものがごちゃごちゃ入っているビジュアルは、確かに慣れない方が見るとちょっとヒイてしまうかもしれない(だから私におはちが回ってきたのだが)。しかしお湯を入れると、菊の花はふんわりと開き、赤い実はその鮮やかさを取り戻し、巨大な丸いものがぷっかりと浮かぶ。それを避けながら口に含むと、菊の癖のある味と香りが、日本の耐え難いほど蒸し暑い夏を、ちょっぴり吹き払ってくれる。


しばらくすると、(私はあえて混ぜないので)やがて溶け出した氷砂糖の甘みがほのかに舌に感じられるようになってくる。これで、乾きがじんわりといやされていく。このやさしい甘みが、疲れ果てた体にしみわたっていく敦煌での日々を彷彿とさせ、ふと気持ちがはるか遠くに飛んでいくような気がする。


もちろん、やがて六畳一間の風通しが悪い大阪のアパートにいるという現実にひきもどされるのだが、でも、これでまた仕事をがんばろう!という切り替えができるのだった。