チーズと中国人
2011年8月7日(日)読書欄に「チーズの歴史」が取り上げられていた。その書評をぼ〜っと読んでいると、「来日するまで、チーズを見たことすらなかった私は」というくだりが目に飛び込んできた。
あわてて文末の評者をみたら、楊逸だった。
そうそう、確かに中国ではチーズは(私が中国に居た当時、私の知る限りでは)あまりなじみがなかった。それはただ輸入が少ないとか高いとかそういうのではなく、(しつこいようだが私の知る限りでは)忌み嫌われていた。ある留学生部の先生は「チーズは气死了(腹が立ってたまらん)」などとシャレを言うて喜んでいたくらいだ。
日中辞典で「チーズ」をひくと、「干酪(gānlào)、乳酪(rǔlào)、奶酪(nǎilào)」などと書いてあるが、その先生は「zhisi」と言っていた。漢字をど忘れしたが、1文字目は確か「芝(zhī)」だったような気がする。で、2文字目は、標準語では「shi」と読む漢字だったのだが、2文字目はそれがうっかりなまって「si」になり、それでますます气死(qìsǐ)に発音が近くなっていたという記憶がある。
そしてチーズのことを話題にしている、ということは、少ないなりにも中国人の暮らしの中でチーズに接触する機会が多くなった、ということで、確かに、そのころからピザ(必萨だったか比萨だったか…)屋などのお店が少しずつ増えていったようである。ただ、なぜか当時の中国人の味覚にはあわなかったらしい。腐乳とか食べるくせに(?)なんで、と思ったものだが、いまはどうだろう? けっこう、チーズ好きも増えているのかもしれない。
ところで、この本の評者にチーズを知らなかった楊逸を選ぶ朝日新聞って…。中国人とチーズの関係をしらなかった? いや、天下の朝日新聞だから、それはないでしょう。おそらく、組み合わせの妙をねらったのかと思われます。
チーズの歴史 5000年の味わい豊かな物語 (P‐Vine BOOKs)
- 作者: アンドリュー・ドルビー,久村典子
- 出版社/メーカー: スペースシャワーネットワーク
- 発売日: 2011/06/17
- メディア: 単行本
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