『魔女の1ダース』読了
昨夜、ナイトキャップ代わりに読んでいる
米原万里『魔女の1ダース〜正義と常識に冷や水を浴びせる13章』を読み終わった。
もう米原さんのエッセイ+本は何冊も持っていて、
これも、数年前に古本屋さんで偶然みつけて、買ってきたものだった。
ロシアとか私にとってはほんとうに遠い存在なのだが、
米原さんがもうしょっちゅう紹介しているロシア小咄の、なんておもしろいこと。
彼らがヒトを皮肉るすべは一流、そして自分たち自身を皮肉るすべも超一流!
自分で自分を笑えるということは、自分を客観視できること、
さらに、それを笑えるくらい余裕を持ってできるということなんでしょうね。
また、チェコで少女時代を育ち、大人になって通訳者になってからも、
国家主席クラスの要人などの通訳もこなすなど、
彼女自身のまれにみる数奇な?体験や、またそこで見た・感じたことが、
笑いをもって、時には怒りをもって語られる。
シモ系の話しも、自分にかかわることだってばんばん話すその率直さ、
一つの体験から連想が広がっていく視野と見識の広さ、
ほんとうに、もうこの方の新作を読めないことが、残念でならない。
また、この本には、たまたま私がこれまで読んできた彼女の本には
書かれていない要素がちょっとあって、それが新しい発見だった。
一つは、彼女自身が、一流の通訳者になる前の、大学院を出てから
非常勤とかやってるけど暮らしていけない、とかいうような、
まさに今の私と同じような境遇が語られていたこと。
もう一つは、彼女と恩師との交流。
本文中に、彼女の恩師・徳永晴美氏が非常におもしろい方で
彼の一言で、彼女の長年思っていたあるヒトのイメージが覆って
どひゃーと思った、というようなエピソードがちょっと載っているのですが
(これもシモ系の話)その徳永氏が巻末の解説にひょこっと登場して、ちょっとびっくり!
米原さんのエッセイに出てくる人物評を読んでると、
きっと、米原さんはその人物の独特なところをうまく引き出して、
おもしろおかしく書いている部分もあるのかな、と思っていたのですが、
(私は西原理恵子の書きようがそうではないかと思っているのですが、
よく言えば他のヒトは気づかない部分をうまく引き出して表現している、
悪く言えば実物より数割増しにおもしろく書いているのでは?という気がする)、
その解説を読む限り、徳永氏はまさに彼女が書いたとおりの
掛け値なしにおもろいヒトなんだ、ということがよく分かりました。
そういうヒトってほんまに居てるんですね〜。
同時に、恩師と彼女の心温まる関係を想像して、心がほんわかとしました。
魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章 (新潮文庫)
- 作者: 米原万里
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1999/12/27
- メディア: 文庫
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