虚擬街頭漂流記

朝日新聞2010年5月26日付夕刊 文化欄より
日本・台湾の文化融合に期待 島田推理小説賞受賞 寵物先生

第1回島田荘司推理小説賞を、
台湾の作家・寵物先生(ミスターペッツ)「虚擬街頭漂流記」が受賞したという記事です。


「同賞は、中国語で書かれた本格ミステリー作品を対象に、昨年新設された新人賞で
台湾、中国、タイでも出版される」(記事より)

なぜ、そのような賞に島田荘司の名が冠されるのか、が知りたいなあと思いました。
島田氏と中国になんか縁があるのでしょうか。いつか調べてみたいなあ。



記事より、本人のコメント。
「島田賞を機に台湾で推理小説を書く人が増えています。
日本の本格推理小説の書き方に刺激を受け、それに台湾の文化が融合することで
さまざまな作品が生まれるかもしれません」


もうひとつ。
「(前略)受賞作が台湾で出版されたとき、おまえの言葉は
日本の小説の読み過ぎで文法が日本語的だと言われました」

これを見て、上野恵司先生のなんかの本にあったエピソードを思い出しました。
先生は子連れ留学?をしていたそうですが、ある日、子どもさんと
夜行列車かなんかに乗ってた時………

記憶があいまいだったので、ちゃんと調べました。


上野恵司『新版 中国ことばの旅―中国語を知るための81章』168頁
そこに、こどもさんの言葉として
「あした何時に目が覚めたら何時に起こしてね」と言われて「ガクゼン」としたとか。

先生はそれを
「几点钟起来,就几点钟叫我吧」
という疑問詞の呼応表現をそのまま日本語に直訳したもの、としておられます。



これとはちょっと違うけど、私も時々、似たような気持ちになるのは
「提醒(我)」という語を使いたくなるとき。

日本語で「私の注意を喚起してね」というと回りくどいし
「私に注意してね」というと、なんか悪いことをしてて注意されるっぽい感じになるし、
辞書を引くと「(忘れないよう)注意を与える、指摘してやる、ヒントを与える」とあるけど
なんかしっくりこないんですよね。



もう一つは「隐患(yin(3)huàn)」かな。
同じく辞書を引くと「まだ表面に現れない災禍や危険」とあります。
一番近い表現は「ヒヤリハット」だと思うんだけど、これはもう
「表面に現れて」ますからねえ…。

たとえば、絨毯の上にビニール袋がほってあるとき、
そのうえにあしをのっけて滑って転ぶようすを想像し、片付ける。
そのときに思い浮かぶのがこの「隐患」なのですが、
日本語でなんといえばしっくりくるのか。

とりあえず、この2語がふと思い浮かびました。


中国ことばの旅―中国語を知るための81章

中国ことばの旅―中国語を知るための81章