中学生のまなざし

この日付の朝日新聞朝刊の求人欄のコラムに、藤原和博という、民間人から中学校の校長に登用された人が、はじめて生徒の前に立った時の感想を「裸で人前に立ったような怖さを感じました」と書いていた。つまりは、対おとなだとだいたい反応が想像できるし、また自分にはこれまで培ってきた業績や地位を有しているけど、こどもらに対してそんなことは関係ない、「このおじさんは僕らの役に立つのか」という一点で見つめてくる、と。


同じ状況で、私は「ああまだこの子らは子どもなんやな、見知らぬ他人との接し方が分からへんのやな」と思ったのだけど、ある現象の原因を自分の中に見、そしてそれから自分を変えようと体当たりでアプローチしていく、その姿勢は立派やなあと思った。だって、他人は変えられないけど、自分は変えることができるから。


とはいえ、私もそれなりにいろいろ試行錯誤していった。でもその1年ももう少しで終わる。後で思ったのは、もう少し授業内容に柔軟性をもたせ、まずは「覚える」より「興味を持たせる」をもっと優先したらよかったかな、と。でも、もう過去には戻れないから、この経験をまた将来の自分に生かすことができればなあと思った。


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同じ日の読書欄で紹介されていた本。ノヴェンバー・ステップスは、学校の音楽の授業とかで鑑賞したような気がするけど(いまもそうなのかな?)、その場で演奏したという天才女性琵琶師が主人公。しかしそこから奏者として大成していくのではなく、波乱の人生をたどっていく。

さわり: 天才琵琶師「鶴田錦史」その数奇な人生

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