放射能の時間、人間の時間


有村智恵のアルバトロス+ホールインワンの確率が「3万年に1度」だという話題で盛り上がっており、さらにそれはプロゴルファーの確率であって、さらにラジオでは、とあるスポーツ紙を引用し、もしアマチュアの確率でいえば、1億か2億か忘れたけど、それくらいに1度なんだ、という話題を紹介していた。


その話題の中でクロマニヨン人とかティラノサウルスとかいろんな単語を耳にし、ゴルフというスポーツが、はるかな時間軸をへて、そういう存在に結びつけられるという不思議さに思いをはせたものだが、ここで私がふと思い出したのは、すこし前の朝日新聞の次のような記事であった。



2011年7月3日付朝日新聞朝刊 オピニオン欄
ザ・コラム 放射能のゴミ 放射能の時間、人間の時間 大野博人(オピニオン編集長)



いま脱原発だとか、卒原発だとか、いろいろなことが言われ、それについて侃々諤々と議論がとりざたされているが、しかし、このコラムで淡々と提示されている事実に改めて向き合えば、誰しも沈黙せざるを得ない。



1984年、米エネルギー省の想定によれば、放射能の毒性が弱まるまでの想定時間は、1万年、あるいは300世代。
2009年、米原子力規制委員会が唱えた同時間は、100万年。


政府が、国が、という以前に、人類という種そのものも、もう絶えているかもしれない、そしたら、この核のゴミはどうなるのか?という問いだった。


別に現在になって新たに出てきた問題ではない。原発を作った時点から、分かっていたことだ。そして、その解決策がまったく示されないまま、もうすでに核のゴミは発生し、蓄積されつづけている。いま現在も、着実に増え続けている。


「100万年前といえば、原人ピテカントロプスの時代だ」と筆者はいう。調べてみると、いろんな説があるようだが、ピテカントロプスと、原人類ホモサピエンスの間に、ネアンデルタール人があるみたい。このペースでいけば、核のゴミも、ホモサピエンスの次の次の種まで持ち越される。私達はピテカントロプスからどんな「知識」を受け継いだか???などと考えると、伝説や神話で残れば、というのはまだ楽観的すぎる観測だと思う。


有村の記録から、こんなことを想起せざるを得ないという、そんな現状が悲しい。
そして、自分自身、そのようなエネルギー源の恩恵をこれまで十二分に受けてきたという事実も悲しい。