沖縄−音楽の力・うたの力

2011年1月28日朝日新聞朝刊
 政策ウオッチ 普天間問題
  首相は住民と飲み明かしては


ここで、私が普天間問題を語ろうという用意も覚悟も全くない。
この記事を紹介したかったのは、下記の下りだ。



 昨秋に訪ねた時のこと。カウンターに飲んでいた常連客にヘリの騒音や海の埋め立ての影響を尋ねたら、「理屈っぽい質問」はやめて、ある琉球民謡を覚えるよう勧められた。歌い出したのは反戦歌で恋歌でもある「二見情話」。二見は辺野古の隣の地だ。
 「海山ぬ眺み他所(よそ)に勝てよ」「語たしや辺野古」。沖縄戦から逃れてきた男性が、この地の自然の美しさや、地元の女性との思い出を歌った内容という。沖縄に生きる誇りと、基地新設への割り切れぬ思い。住民たちの「情」は、東京で日米安保の「理」を取材するだけではわからない。


●二見情話(YouTube


聞いてみると、すこし哀愁をおびた、やわらかなうただった。
でも、この記事を読んで、どんな曲かという片鱗を知ってから聞くと、
そこに込められている深い想いに思いをはせざるを得ない。


うたと政治を結びつける典型ですぐ思い浮かぶのは中国の数多くの革命歌だ。
でも、このうたは、声高でも、いさましくも、正義感や悲壮感にうちふるえてもいない。
戦争や政治という「大きなこと」だけではなく、それが恋心という個人的な
「ちいさなこと」とやさしく重ね合わされ、しっとりと、静かにうたうのだ。


だからこそ、よりずんと訴えるものがある…というのは、
日本人ならではの感覚なのだろうか。