続・自閉症の僕が跳びはねる理由


続・自閉症の僕が跳びはねる理由(東田直樹)
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家の人が借りてきた図書館の本を読んで、ぜひその続編を読みたくなって区民図書館で借りてきたモノ。
7月26日の相模原障害者無差別殺人事件のあとだっただけに、ほんとうにいろいろな思いで読んだ。

前の本を読んで、何というか、自分がなんて偏見を持っていたのだろうと愕然とした。
彼らは、心の中にこんなに豊かでキラキラした世界を持っていたのだ。
ただそれが他の人にわかるような形で表現できる手段を持たなかっただけなのだ。
東田さんのこの本を読まなければ、私はおそらく東田さん本人に会っても、
そのことを知ることがなかっただろう。


東田さんは、血のにじむような努力を経て、徐々に自分以外の人に自分の考え・思いを伝える手段を獲得することができた。
でも、その手段を持ち得ないままの人々と、これまで私は地下鉄や路上、古くは中学校の隣のクラスのクラスメートとして出会っていた。でも、その豊穣な内面世界を、まったく想像することができなかったのだ。

また、彼らの感覚は、私達の感覚とまったく異なる部分もあること、それは障碍ではなく、1つの個性かもしれない。
まるで、たとえ日本人があやつろうと、手話は日本語とはまったく違う「母語」なのだと知った時の衝撃と似ている。

いくつになっても、自分が知覚できることなんて、ほんとうに世界のたった一部分だけなのだ。


この本を、もし「彼」が読んでいたら。あの事件はそれでも起こったのか、起こらなかったのか。