この日付の朝日新聞朝刊「歌壇」より

まずは動物3句。

・搾っても搾ってもなお酪農家楽にはなれずじっと牛を見る 川崎市 小島さん
佐佐木幸綱評:第三首、啄木の「働けど…」のパロディ。「じっと牛を見る」の笑えない可笑しさ】
 これ「ぢっと」のほうがなんとなく好き。


・リスのためテラスに置きし数十の栗消えて深し蹄の刻印 登別市 世利さん
【高野公彦評:第三首は猪の蹄か。〈招かざる客〉の襲来】
 冒頭の「リスのため」がかわいくて、並べる時のワクワク感が想像できる。とっても北海道らしい短歌だなと思ったけど、でも「リスの蹄っておおげさな…」と思ってしまった。評をみて、あっそうなのか、と思った。さらにその間に「猪」を「猫」と空目して、「猫の蹄っておおげさな…」と思った一瞬もあった。


・裏山で鳥を咥えてもどる猫敷居を跨ぐ態度がでかい 三郷市 木村さん
 こっちはこっちで「猫敷居」という敷居があるのかと空目した。「態度が大きい」より「態度がでかい」のほうが確かにねこっぽい感じ。


その他のヤツ

・東京に向かい尾を上げライオンの吼えいる姿鳥取県は  鳥取市 山本さん
永田和宏評:十首目鳥取県はちょっと苦しいか】
 散発的に県の形を見立てるシリーズを採用しているのは永田和宏氏なのか、それとも他の選者もやっているのか。とにかく私が覚えている限り、シリーズ初のダメ出し。


メルカトル図法にて引き伸ばされた北欧から来る太ったサンタ 神奈川県 九螺さん
 人まで引き伸ばされちゃうという発想がおもしろい!