病院三昧&NOVA4

年を取るとあちこち悪くなるので、市からもクーポン券を配るからちゃんと検査するよう促される。年度末の3月になると検査も混み合うそうで、2月ももう終わりというこの日、重い腰をあげて、午前・午後と病院を2件はしごした。


んで、病院での長い長い待ち時間のおともがコレ↓


私の一番のおきにいりは斉藤直子「ドリフター」。まるでクラスにふつうにいそうな、SF作家っぽくない名前だなあと思ったけど、私はどうしても笑いのある話に弱くて、あとでもう1回読み直してしまった。もう、この短編がそのまんまコントの台本みたいな感じ。登場人物の2人の名前すら分からないのに、その2人の生育歴や家庭の日常の様子(会話の中にしか登場しない学生さんの奈良のおばあちゃんやお母さんのキャラクターがほほえましい)までなんとなく思い浮かんでしまうのも不思議である。そして、2人のやりとりに爆笑しながらも、守衛のおっさんが、学生さんの話すおばあちゃんの「ウソはいかん」という教えの中に、おばあちゃんの青春を見いだすというやりとりもステキだった。


このNOVAのシリーズは各編の冒頭に大森さんのガイドがあり、これがSFに詳しくない人には本当にありがたい。この短編が、その人の持ち味なのか、意外な一面なのか、そういう位置を知って読めるし、そこに紹介されている別の作品も読んでみたいなあなんて思えるし。まるで、デパートで試食品を食べているみたいな感じ。また大森さんの文章自体も面白く、読むのが楽しい。


で、この本で一番びっくりしたのが、あとがきで新作をつのる「特別な事情がないかぎり、二十四時間以内に作品を読んで、採否の結論を返信します」というくだりである。翻訳やりいの、文章かきいの、対談しいの、ブログ更新しいの、アンソロジー編みいのと、死ぬほど忙しそうなのが門外漢の私にもうすら分かるのに、二十四時間以内に送ってきたヤツを読んでしまえるうえに、採否まで判断するって・・・。驚愕すべき仕事の速さである。ぜひ「仕事術」の本も書いて、要領悪くて無間地獄をさまよう凡人を救って欲しいものである(あ、そんな本を書いてたらさらに忙しさが増してしまうことになるか・・・)