音楽に割く時間

2010年10月4日付朝日新聞夕刊
 人生の贈り物 ジャズミュージシャン 渡辺貞夫(77)〔1〕
 いい音との出会い求めて 一生ずっと



この連載は、音楽に生き様があらわれるとか、いろいろな名言があって
どれも書き留めておきたいくらいですが、いまの自分にとって
いちばんずしっと来たのが、このことばでした。



 質問 日本のジャズシーンは?
 答え 元気あると思いますよ。一生懸命の人たちもいる。
    ただ、どの程度自分の音楽に時間を割いているのかが、見えない。
    無我夢中で音楽に浸っている時間が少ないというか。(後略)



私も同じことを言われたことがあるので、ボディブローのようにキいてきます。


もちろん、渡辺氏のおっしゃることは、もっともっと深い意味でのことでしょう。
二胡の大家・閔惠芬氏のことを思い出します。あるとき、いったい一日どのくらい練習するのか
聞いてくれと言われ、四苦八苦して訳して質問してみたら
「練習時間云々ではない、自分はまさに24時間、音楽のことだけをつねに考えている」と
おっしゃったのです。


その答えを聞いたとき、鳥肌が立ちました。
プロというのはなんて厳しい世界の中で生きているのかと。
技術うんぬんの話ではない、もう生きる姿勢からし
プロというのは、すごい人なのだと。