ふたたび石家荘に電話

6月1日に電話して通じなかった石家荘の先生に、もう一度電話してみた。


指定された時間にかけたら、やはり誰も出ない。
しかし、今回は紹介してくださった北京の先生からケータイ番号を聞いていたので
そこにかけてみたら、やっと通じたのだが…


やばい! 石家荘の先生はダミ声でしかもスゴイ早口。
ほとんど、おっしゃっていることが分からない。
しかも、いまは出先で、街中を歩いている最中らしい。


あわてて、またかけ直すから、というと、
「いいからいいから、聞きたいことをいいなさい。なんだっけ?」と。


事前に、質問したいことを手紙に書いておくっていたのだが、
まず1点目は、先生が作曲なさったとある曲について、音源の有無を尋ねるものだった。


先生は「その曲は『・・・・』に入っている」とおっしゃるのだが、
なんて言ってるのか、まったく聞き取れない。
たとえば、私たちが電話口で「幸は幸福の幸」とか説明するように、
先生も「・は・・の・」と一字ずつ言ってくださってるのだが、
けっきょく、一字も分からず、とりあえず聞き取れる限りの
ピンインを必死でメモる。
(これは、あとでネットで調べてみて、該当するものを見つけた)


手紙に書いた質問の2点目は、私たちが翻訳している二胡テキストに載っている、
先生作曲の曲の弓法についての疑問点だったが、これについてはさすがに
「いまからすぐ家に帰るから、あとでかけなおしてくれ」とのこと。


***


30分後、こんどは家の電話にかけたら、先生が出た。
で、その質問については解決したのだが、先生のほうから
「他に質問はないか?」と尋ねてきてくださったのだ。


チャンス!とばかりに、あらかじめチェックしておいた
テキスト掲載の先生作曲・編曲の10曲あまりの曲について、
疑問点や、他本を見て訂正したところの確認など、どんどんぶつけていく。
先生はそれについて、てきぱきと答え、「次は?」と質問を促す。


時には、こちらが質問していないことについても、「ここはこう直してくれ」と
注文がついていく。


また別のある曲については、指法が印刷ミスではないかと思われたので、
それを質問してみたら、「ちょっと待て」とおっしゃって、声がとぎれた。


と、電話口の向こうから、二胡の音が聞こえてきたのだ!
先生、わざわざ楽器を持ちだして、自分で弾いて確認しているらしい。
もう10時(中国時間)回っているのに、その熱心さに脱帽。
何回かそのフレーズがきこえてきたあと、
「あなたの言うとおりだ! これは一指じゃなくて二指だ!」と
先生のはずんだ声が伝わってきた。


こうして、現時点で見つけた疑問点については、すべて解決した。
とりあえず、今回発見した間違いを譜面にフィードバックしたものを
送るから、確認してほしい、ということと、またなにかあったら
質問させてもらってもいいか、と聞いたら、どれも快諾してくださった。


***


電話を置いたとき、最初に電話をかけてからすでに1時間半もたっていた。


電話をかけるときに不安だったのが、聞き取れるかどうか、だったけれども
それにもまして、「そんな細かいこと聞いてどうすんの?」という対応をされたら
どうしよう、という懸念があった。しかし、それも全く払拭された。


それどころか、仕事を終えて夜遅く帰宅して、お疲れだったでしょうに、
みしらぬ日本人からのたどたどしい電話にこんなに熱心に応対してくださったことに
音楽に対する先生のなみなみならぬ情熱を感じ、とても嬉しかった。


本当に本当に、ありがとうございました!