息に声をのせる

2009年3月8日付朝日新聞日曜版 be(緑)
 日曜ナントカ学2 「無常」感じ頭から体を解き放つ


ここから、東京の能楽師さんの声の道場について述べている一節を引用します。

(前略)
 声の道場では、初めに腹式呼吸の練習をする。立っていても、いすに座っていてもよい。肩の力を抜いて、姿勢を正す。みぞおちのあたりにゴムボールがあると想像し、それをつぶしていくように、ゆっくり息を吐ききり、入るにまかせて吸う。
 腹式呼吸ができたら、息を吐きながら軽く声を出してみる。息に声をのせて響かせると、自然な声が出る。息と声をわけて考えるのがポイントだ。
(後略)


そして、能の呼吸は、この腹式呼吸ができたうえで、息を入れてそれを肺にためたまま、一部を声帯にあてて声を出す。一方で、音が体に残っている息=空気に響き、その振動で外につたわるそうだ。



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授業でずっとしゃべりつづけると、最後らへんにはのどがしんどい。意識して発声をしなければ、と思うが、そんなことは消し飛んでいる・・・。意識せずにできることを、意識してやるのは、ほんとうに難しいのだ。しかし、それをしなければ、体に負担がかかる。これは、のちに私が学ぶことになるATの考えをかじったときに、授業を「上向き思考」でやろうとして、ぜんぜんあかんかった経験を彷彿とさせる。